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日本人のための憲法原論  小室直樹 著  読書ノート

一般に流布されている考えに囚われずに、歴史的に現象・事象を科学的に捉えなおす。学問領域を乗り越えて、とらわれず、論を展開していく。小室直樹さんは、頭いいわ!
「憲法も民主主義も、けっして『人類普遍の原理』などではない、これら2つは近代欧米社会という特殊な環境があって、はじめて誕生したものですから、憲法を知るには、欧米社会の歴史とその根本にあるキリスト教のの理解が不可欠なのです。」 ドイツのワイマール憲法は当時世界でもっとも進んだ憲法と言われてましたが、ヒットラーはその憲法を廃止することなく、独裁政治をすることができてしまった。ヒットラーが憲法を殺してしまったのだ。わが日本も今、憲法は死んでいると言える。「憲法とは、・国家権力・司法・行政・立法等すべてを縛るために書かれたものです。」
カルヴァンがひろめたキリスト教の「予定説」・プロテスタンディズムが王権を覆しただけでなく、近代民主主義も近代資本主義も生まれることになった。
「働くことが救済であるとは、日本の二宮尊徳も言ったこと。しかし二宮尊徳だけでは資本主義は出てこない。」・・・利潤を最大にする目的のために、何をすべきかを合理的に考えるという精神が生まれた。
そして産業革命、複式簿記・・・こうして近代資本主義が育っていった。その資本主義のエートスもプロテスタンでイズム、つまり予定説という媒体、触媒があって誕生した。
「ホッブスは、たしかに国家をリヴァイサンと呼びました。しかし彼が言ったのは『本来、国家権力は怪獣のように強くなくてはならない』ということなのです。ロックの言うような『人民に奉仕する政府』などチャンチャラおかしい。ところが、このホッブスこそが、実は社会契約説の元祖開山などです。」「ロックによれば国家権力というのは人民の契約によって成り立っています。・・・ロックの思想がアメリカ人に影響を与え、アメリカ独立戦争を成功に導いた・・・憲法の前文の「国民の信託とは、要するに国民同士が契約を結んで、自分の持っている権利を国家に預けたということです。ロックは憲法に生きているのです。この精神を具現して憲法学者は竹槍を・・・」
「聖書の文化・『神との契約は絶対に守るべきである』という概念が・欧米の人たちは人間同士が結ぶ契約についても、やはり同じように守らなければならないと考えた・・」「たしかに、日本は形だけは近代国家の体裁になっています。しかし、その根底を探ってみれば、そこには契約という概念がない。つまり空洞なのです。すなわち日本の民主主義も資本主義も、いわば砂上の楼閣にすぎない。戦後50年はなんとかそれでも持ちましたが、さすがにここに来て、砂上の楼閣が崩れようとしているのではないか。・・・」
『二宮尊徳・彼こそが日本的資本主義の精神の象徴だった。・・『労働は金儲けのためではない・・・お天道様(オテントウサマ)はちゃんと見てくださる。だから怠けてはいけない』予定説ばりの思想を説いてまわった。」
「明治政府・ヨーロッパがキリスト教の力によってデモクラシー国家になったように、日本は独自の宗教をもってデモクラシー国家になる。そのために行われたのが、天皇の神格化です。・・・近代資本主義の精神、近代デモクラシーの精神がなければ、制度や法律をいくら整えても、近代国家にはなれないのです。」「伊藤博文は江戸幕末を 風靡した尊王思想を新政府の宗教にすることで日本を近代化、つまりデモクラシー化、資本主義化するというアイデアを思い付いた。・・・ヨーロッパにおける憲法は、いずれも歴史の中で作られてきた(機軸)・・・日本において機軸のなる宗教がみあたらない。→尊王思想・天皇教の、利用・・・」
「伊藤は憲法の本場であるヨーロッパを見てまわり、日本が憲法を持つのは並大抵のことではないと気付いた。蒸気機関車や電灯を輸入するのと同じように、憲法を輸入することはできないとことを知った。」
「長年にわたる権力との戦いを経て、人民が勝ち取るのがデモクラシーです。その意味において、戦前の帝国議会はたしかにこの時期、デモクラシーを勝ち取ることに成功した。天皇の前の平等という、ヨーロッパでは考えられない前提から始まった日本の憲法政治も、自力でここまで進化したのです。これは奇蹟と言っていい。」「『反軍演説』の斉藤隆夫が除名されたのは昭和15年1940年3月7日、この日戦前日本のデモクラシーは死に、明治憲法も死んだ。・・・ドイツと同じように議会が自殺してしまったことこそ、日本に致命的なことであったのです。」
「現代の歴史観ではね『戦前の日本は暗黒で、日本の大衆もマスコミも軍の弾圧を恐れて、何も発言が出来なかった』とされています。しかし、それはとんでもない話です。シナ事変において、マスコミは沈黙するどころか軍よりも戦争に熱狂していた。そして、言論を尽くして軍と大衆を戦争に煽り立てていった。」
「角栄死して、憲法も死んだ」①裁判官と検事がグルになる恐怖 ②裁判所が憲法違反を行った。③反対尋問こそ被告の生命線→かくして日本国憲法は死んだ。  
「自由にしても、平等にしても、それは与えられるものではありません。現に欧米人たちは、みずから平等や自由を勝ち取った。自由も平等も、その前提になっているのは権力との戦いです。・・・権力と戦うことなく人権を手にいれたものだから、戦後の日本人は権力を監視することも忘れてしまった。その結果が、官僚の独裁であることは言うまでもありませんが、民主主義と国家権力との戦いなのだということが忘れられると、自由も平等もたちまち変質してしまうのです。・・・最後に丸山真男の言葉『民主主義をめざしての日々の努力の中に、はじめて民主主義は見出される』」で終わる。    24/11/21
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【山好き、旅好きの団塊世代日記】 当ブログは2007/1/29に運営開始いたしました!





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プロフィール

高田 学

Author:高田 学
少年時代は海と戯れ鎌倉育ち、故郷を離れ北海道で学業。その後東京にて工務店経営。
環境(省エネ)には特に詳しい。廃業後自由人。

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