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「山靴の画文ヤ 辻まこと のこと」 駒村吉重 著  読書ノート

辻まことの本『山で一泊』『山からの絵本』『山の声』『山の風の中へ』『山と森は私に語った』『すぎゆくアダモ』、宇佐美英治 編『辻まことの芸術』、雑誌『アルプ 特集 辻まこと』と、1970年代に私は読みました。ファンだったのです。つい最近新聞の書評にこの本が掲載されていて、思わず買ってしまった。おお当たりである。著者の駒村吉重さんはノンフィクションの賞をもらっているだけあって、とても読ませる。そうだったのかと事実関係もわかったことも多いい。
瀬戸内晴美(寂聴)の本『美は乱調にあり』に出ていた辻潤が好きになりました。伊藤野枝が先生だった辻潤と一緒になるが辻潤を踏み台にして、時代の先を行き過ぎていた、かっこいい大杉 栄に野枝は走ってしまうが、関東大震災後の甘粕大尉により両人虐殺されてしまう(甘粕事件)。ダダイスト、『ですぺら』の著者の辻潤と伊藤野枝の子が辻まことである。 
「平民社」ができたころ「社会主義者たちは国と個人の関係を西洋の思想に学び、考え、盛んに意見をたたかわせた。」「・・・『もっとロシアから戦果をもぎとれ』と気勢をあげた日比谷暴動が語るように、大衆の間に大国意識が芽生えるのだ。国家、軍人至上主義の価値観はこの大戦(日露)以降、揺るがぬものとなっていく。 かたや玉露と尺八を好む江戸趣味の放浪者、かたや精力的な社会主義革命家―。対極の印象をもたれる辻潤と大杉だが、じつは妙に共通するところがあった。」マルクスの同時代人のマックス・シュティルナー(『唯一者とその所有』著者)に両者傾倒していた。「・・辻潤は、大杉のようにシュティルナー思想の『社会』性を読むよりも、自我のあるべき姿を示した『個人』性の文脈を丹念に追った。社会アナーキズムでなく、個人アナーキズムのほうに寄ったのだ。」
辻まことは武林夢想庵(東大出)の二番目の妻・宮田文子との娘イヴォンヌと最初の結婚をする。イヴォンヌは竹久夢二の子の竹久不二彦(辻まことの親友)より辻まことを選んだ。しかしイヴンヌとの間にできた長女(野生ノブ)は事情により二歳のときより、竹久不二彦の子として育てられるが、まことはおじさんとしてその娘ノブをかわいがる。イヴォンヌと別れ松本良子と再婚し直生が生まれる。しかし他に愛人もいた。まことは、草野心平の主宰する『歴程』に多く寄稿する。
「辻潤の死から23年の時をへて、一番最後に書かれた『父親と息子』のなかに『彼は短い人生の長かった闘争の最後に狂気によって救済された・・・佯狂のように見えたのは、彼(辻潤)の場合に100%の狂人でなく、狂気と正気が共棲していたためだ。おそらく精神が自営上採用した最後の手段だったとおもう』『おやじ自身は自由でなかったとしても、おやじの行為と表現は、私の、そして多くの人々の精神の願望の犠牲のように思われるから・・・』・・・」
☆ 青春時代に読んだ辻潤・辻まことの本を思い返し、感慨深いです。 
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[C22] 辻まことの世界

矢内原伊作編『「辻まことの世界』、『続・辻まことの世界』 高木護著『辻 潤 「個」に生きる』を処分できず、書棚で眠っている。
辻まことは62歳で死んだ。短いが豊かな人生だっただろう。
  • 2013-04-02
  • 京都在住
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高田 学

Author:高田 学
少年時代は海と戯れ鎌倉育ち、故郷を離れ北海道で学業。その後東京にて工務店経営。
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