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「タックス・ヘイブン」 志賀 櫻 著 岩波新書 読書ノート

まずタックス・ヘイブンとは、租税回避地のこと。外国資本や外貨獲得の為に意図的に税金を優遇(無税など)して 企業や大富豪の資産を誘致している国や地域のこと

著者は東大出の、キャリヤー官僚・主税局国際租税課長等を歴任した、タックス・ヘイブンの租税回避の対応に携わった張本人といえるのでしょう。世界の、日本の大金持ちの生々しい・ドロドロした税金逃れに使われているタックス・ヘイブンの実情を、「市民の目の届かぬ場所で、税負担の公平を覆すさまざまな悪事がおこなわれている。その知られざる実態を明らかにし、生活と経済へ及ぼす害悪に警鐘を鳴らす」(表紙裏分)

「日本の税制は公平か」について、「所得金額が一億円を超えると、日本の所得税は「逆進的」なものにかわることを示している。…実際、課税当局は、・実際よりも低く申告して課税を逃れている高額所得者が多数存在すると見ている。政府税制調査会のグラフよりさらに逆進的…、その実態を正確に把握するのはきわめて難しい。なぜか、そうした租税回避や脱税を助けるさまざまなカラクリが存在するからである。そしてそのカラクリの核心部にあるのが「タックス・ヘイブン」である。
「タックス・ヘイブン」は魑魅魍魎の跋扈する伏魔殿である。脱税をはたらく富裕者だけでなく、不正を行う金融機関や企業、さらには犯罪組織、テロリスト集団、各国の諜報機関までが群がる。悪名高いヘッジ・ファンドもタックス・ヘイブンを利用して巨額のマネーを動かしている。」
タックス・ヘブンの三大悪事 ①高額所得者や大企業による脱税・租税回避 ②マネー・ロンダリング、テロ資金への関与 ③巨額投機マネーによる世界経済の大規模な破壊 である。

「…アメリカ東部のデラウェア州のウィルミントンには、フォード、GE、コカコーラ、グーグルなど、世界に名だたる大企業が本社を置いている。…登記上そこに居をかまえているにすぎない。タックス・ヘイブンである。…企業会計上は素晴らしい業績をあげている企業がアメリカではほとんど納税していないことは紛れもない事実である。」
「…英国はシティが存在することによって国際社会における発言権を確保している。つまり、シティの権益に直結するタックス・ヘブンを守ることは、英国の国益を守ることになるのである。」
「…国籍上は日本人であっても日本国の非居住者であれば、法律上所得税の納税義務はない。」
「…経済がグローバル化して資金は国境を越えて簡易・迅速に動けるにもかかわらず、課税権は国境を越えると有効には及ばない。そして、海外にはタックス・ヘイブンが口を開けて待っている。これでは、所得税を基幹税として選択することはて゜きない。所得税の復権をいうのであれば、逃げる富裕層を止める具体策をしめさなければならない。」

「投機マネーによって破壊されつつある金融システムを守るべく政府が動員できる資金は、ヘッジ・ファンドなどのマーケットが動かす資金の規模に比べれば微々たるものに過ぎない。暴走マネーの供給源― 大きな矛盾はそうしたヘッジ・ファンドに資金を供給している資金源の中には、他ならぬ先進国のオフシュアー金融センター(タックス・ヘブンのひとつ) が含まれている…」
「一番悪いのは、タックス・ヘイブン退治に乗り気であると見せながら、舞台裏では自国の権益を守ろうとしている先進経済大国である。(日本のこと?筆者記)」

「大きなリターンを求め、国境を越えて無秩序に動き回り、その結果として無辜の一般市民に被害をもたらす投機マネーは、有害きわまりない。…こうした人間の強欲(グリード)に突き動かされた有害なマネーを正当化したい立場の人々にとって、一番もっともらしい理論付けになるのは、いわゆる新自由主義の経済理論である。その新自由主義の下、人間の強欲は、マネーゲームによって収益を飛躍的に高められることに気が付いた。」
「世界経済は、1990年代以来、今日に至るまで、連続的な金融・通貨危機に襲われ続けている。これらの危機の多くは、タックス・ヘイブンを舞台に、非生産的なマネーゲームに狂奔するヘッジファンドその他の投機マネーが引き起こしたものである。その淵源をさかのぼれば、新自由主義の下で規制から解き放たれた人間の強欲がある。」

結論― 「タックス・ヘイブンは、富裕層や大企業が課税から逃れて負担すべき税金を負担しないことに使われ、犯罪の収益やテロ資金の隠匿や移送に使われ、巨額の投機マネーが繰り広げる狂騒の舞台にも使われている。その結果、一般の善良かつ誠実な納税者は、無用で余分な税負担を強いられ、犯罪やテロの被害者となり、挙句の果てには、マネーゲームの引き起こす損失や破綻のツケまで支払わされている。」
本書の目的「…一般の納税者が、正しく問題の所在を理解することのみである。」

☆ 政府の税制の要人であった著者が、強く税の公平を考えていたというのは、嬉しいことですね。この人も竹中平蔵は嫌いかな?  2013/10/01
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【山好き、旅好きの団塊世代日記】 当ブログは2007/1/29に運営開始いたしました!





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高田 学

Author:高田 学
少年時代は海と戯れ鎌倉育ち、故郷を離れ北海道で学業。その後東京にて工務店経営。
環境(省エネ)には特に詳しい。廃業後自由人。

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