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「絶望の裁判所」瀬木比呂志 著 読書ノート

帯より「最高裁中枢の暗部を知る 元エリート裁判官 衝撃の告発!」

☆ 東大法学部在学中に司法試験に合格のそれなりに上昇志向のあった超優等生・エリートであったが、残念な事に(?)理屈・理論が好きな、学者向きな、あるべきすがたに真っ当な考えをもったために、33年間裁判官を務めたが、現裁判官組織にあわずに、やっと学者になりこの告発・提言本を書いた。
以下抜粋
「裁判の目的とは、…一言でいえば『大きな正義』と『ささやかな正義』の双方を実現することではないかと考える」「行政や立法等の権力や、大企業等の社会的な強者から国民、市民を守り、基本的人権の擁護と充実、人々の自由の実現に努めるという『大きな正義』については、きわめて不十分にしか実現されていない」後述。次に述べる痴漢冤罪事件のように、「日本の裁判所では、『ささやかな正義』はしばしば踏みにじられている。
「あなたが不幸にも痴漢冤罪事件に巻き込まれたとしよう。いったん逮捕されたが最後、・延々と身柄を拘束されることになるだろう。…時間を選ばない厳しい取調べから逃れたいいばかりに、また、後から裁判で真実を訴えれば裁判官もきっとわかってくれるはずだと考えて『はいやりました』と言ってしまうかもしれない。…あなたが否認を貫いて公判に臨めるほどに強い人間であったとしても、あなたが無罪判決を勝ち得る可能性は、きわめて低い。刑事系裁判官の判断の秤(ハカリ)は、最初から検察官のほうに大きく傾いていることが多いからである。」起訴されれば99%以上有罪。
☆ 痴漢に間違われたときは、絶対に捕まってはいけない逃げる事。なんなら相手に名刺を渡して逃げる事。御シラスで本当のことを言えば、裁判官が判ってくれるとは、絶対、考えてはいけない。

アメリカ留学時代に「草の根民主主義の伝統と司法権の独立とが、アメリカの民主制を根本で支えているように感じた…」それでか、「法曹一元制度」が良いと主張する。
最高裁事務総局という組織は『司法行政』を行う行政組織・人事局、経理局、総務局、秘書課、広報課、情報政策課、民事局、行政局、刑事局、家庭局に分かれており、人事・経理局の課長の一部を除けば、局長・課長・局付のすべてが、裁判官である。書記官・事務官もいるが、裁判官が権限を握っている。その事務総局長(事務総長)が次期の最高裁長官になることがほとんど。最高裁裁判官会議は名目だけで、この事務総局が実権を握っている。
「ブルーパージとは、青年法律家教会裁判官部会(青法協裁判官)、左翼系裁判官に対する、再任拒否まで含めたさまざまな不利益取扱いや、人事の餌で釣って青法協からの脱会工作を意味する。」このブルーパージをする、関わることが、最高裁判事にとりたてられる『実績』でもあったと思われる。
「…裁判所と裁判官集団は、今世紀に入ってから・目に見えて悪くなっていった。…つまり職人タイプの裁判官が日本の裁判官の質を支えていたわけである。しかし、上層部の劣化、腐敗に伴い、そのような中間層も、疲労し、やる気を失い、あからさまな事大主義、事なかれ主義に陥っていったのである。…現在の裁判所に、ピラミッド型のキャリアシステムに、そして、それに馴れ切ってしまった多数派の裁判官たちに、制度の自浄作用を期待することは、到底無理ではないかという現実認識に」到る。
「マジョリティの裁判官が・『…今月の新件の最低三割は和解で落とさないときつい』などといった日常的な言動に端的に現れているように、当事者の名前も顔も個性も、その願いも思いも悲しみも、彼らの念頭にはない。…問題なのは、事件処理の数とスピードだけなのである。…そのような裁判官の姿勢から、・困難な法律判断の回避や和解の強要といった日本の民事裁判特有の問題、あるいは、令状、ことに勾留の甘過ぎる発布や検察官追従姿勢が生み出す冤罪等の日本の刑事裁判特有の問題が生じてくるのは、あまりにも当然の結果である。」
「最高裁長官、事務総長、そして、その意を受けた事務総局人事局は、人事を一手に握っていることにより、いくらでも裁判官の支配、統制を行う… 裁判官たちは、常にヒラメのようにそちらの方向ばかり(事務総局)をうかがいながら裁判をすることになる。当然のことながら、結論の適正さや当事者の権利などは二の次になる。」☆上昇志向で競争が好きの優等生だった、裁判官を人事等でいたぶるのは、たやすいことで、…この著者もその犠牲かな?
日本の裁判所組織の「日本型キャリアシステムは、キャリアシステム全体の中でみても、その階層性、閉鎖性、中央集権制において際立ったものであり、構成員に熾烈な出世競争を行わせ、飴と鞭を使い分けてコントロールすることによって、裁判官たちから、その独立性を事実上ほぼ完全に近いといってよいほどに奪い、制度に屈従する精神的奴隷と化しているのである。」
《裁判所による取材統制と報道コントロール》-…個々の裁判官の裁量と自己責任の原則が認められてない。著者は『檻』の中の裁判官=精神的『収容所群島』の囚人たち と、例えている。

「日本国憲法第76条に輝かしい言葉で記されているとおり、本来『すべての裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される』ことが必要である。しかし、日本の裁判官の実態は、『すべての裁判官は、最高裁と事務総局に従属してその職権を行い、もっぱら組織の掟とガイドラインによって拘束される』ことになっており、憲法の先の条文は、完全に愚弄され、ふみにじられている。」
「大多数の裁判官は、ただ先例に追従する、棄却、却下の方向を取る、判決を書かなくてもよい和解という手段に頼ろうとするなどの道を選ぶ。…根本的には、裁判官に真摯に事案にコミットしようという心構えが乏しく、また当事者のためにではなく、上級審にみせるために、あるいは、自己満足のために判決を書いているという側面が大きい…。…ともかく棄却しておきさえすれば安全、へたに容認して最高裁の逆鱗にふれたら大変という裁判官たちの心情も、容易に読みとれる。…このような傾向は、すなわち、時代や社会の流れが悪い方向へ向かっていったときにその歯止めになって国民、市民の自由と権利を守ってくれるといった司法の基本的な役割の一つについて、日本の裁判所、裁判官にはほとんど期待できないことを意味する。」追随型でなくごく少数の独立型の裁判官なら期待できるかも。

「日本の刑事司法の一番の問題点は、それが徹底して 《社会防衛》 に重点を置いており、また、徹底して検察主導であって、被疑者、被告人の人権に無関心であり、したがって、冤罪を生み出しやすい構造となっていることにある。…否認すれば長期間の勾留―『人質司法』。付言すると「普通は処罰されることない形式的な行政法規違反等をとらえて、国家や権力者に都合の悪い調査や告発を行っている人物を逮捕勾留し、必要の無い捜索差し押さえで、そのプライバシーを破壊し、決定的なダメージを与えるといったことが可能になる性格があることも、ぜひ認識しておいてください。」また「こういう制度の下では、検察官が恣意的に起訴、不起訴の別をきめることになるために、強姦や横領等の立証が比較的困難な事案については、検察官は無罪になる可能性が少しであると考えると、立件しない。無罪は検察官のキャリアの失点、汚点になるからだ。」

あとがきに、歌手のボブディランの言葉を引いて『つまり我々の誰からも声が上がらなかったら、何も起こらず、期待を裏切る結果になってしまう…俺にとっては右派も左派もない。あるのは真実か真実でないかということだけ…』

「本書は、ある意味で、司法という狭い世界を超えた日本社会全体の問題の批判的分析をも意図した書物」と著者は言う。
☆ 優等生臭さがありますが、司法・裁判所の実際の全体像がわかってよろしい本です。しかしそれは状況証拠からだけですね、と反論されそうですね。
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【山好き、旅好きの団塊世代日記】 当ブログは2007/1/29に運営開始いたしました!





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高田 学

Author:高田 学
少年時代は海と戯れ鎌倉育ち、故郷を離れ北海道で学業。その後東京にて工務店経営。
環境(省エネ)には特に詳しい。廃業後自由人。

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