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《作家・井上ひさしが私達に遺したかったものは!》十勝読書会から

井上ひさしは、資料を綿密に読み込み、想像力で小説を創造し、『これだけは書いておかないと死ねない』という意気込みで書いてきた。国とはどうあるべきか、国とはなんだ、独立国とは、国民との関係はなど等、そのための資料を徹底的に読み込み、『吉里吉里人』を書いた。その他の多方面の小説・戯曲も徹底的に資料を読み込み作品を作っていったので、蔵書は13万冊に及んだ。

「それからの『吉里吉里国』」1992年 より 抜粋

「『都合のいいときばかり地方を便利に使いおって。それなら地方は地方で独り立ちしようではないか』そう考えて分離独立の方法を研究することにした。神田の古書街で国際法の書物を買いあさって調べたところ、じつに簡単に分離独立ができるので仰天した。」そしてラジオドラマに仕立てた、反響はすさまじい悪評、NHKのディレクターは左遷。「それから30年たった現在でも、『中央対地方・農村』の関係はまったく変わってない。…『霞ヶ関』が徳川幕府の体質を、江戸時代以来の悪代官的体質を、いまだに受け継いでいる…地方はその宝―人と水と自然―を中央の悪代官たちの苛斂誅求(かれんちゅうきゅぅ)の魔の手から守り通さなければならない。」

「子どもにつたえる日本国憲法」 より抜粋
「二度と武器では戦わない…日本刀をかざして敵陣へ斬り込むより、もっとずっと雄々しい生き方ではないか。度胸もいるし、智恵もいるし、とてもむずかしい生き方ではないか。…剣より強いものがあって、それは戦わずに生きること。このことを剣豪たちはその生涯の後半で知るが、いま、私たちはそれと同じ境地に立っている。なんて誇らしくて、いい気分だろう。」
                               
「一週間」(晩年の小説より) 
 医者でシベリァからの脱走兵(井上ひさし的?愉快な)に語らしている「・・ 『戦争終結の間際になってソ連が満州に攻め込んだのも、たぶん労働力が欲しかったからだと睨んでいますが、わたしの眼力に狂いはないはずです。しかも関東軍司令部がまんまとソ連の国策に乗ってしまった。なにしろ関東軍司令部の参謀たちは、日本兵士の使役を極東赤軍司令部に申し出たりしているんですからね。・・・・朝枝参謀は満州各地の関東軍や在満日本人の状況にふれたあとで、今後の処置について、こう書いている。〈内地における食糧事情および思想経済事情を考えるならば、既定方針どおり、大陸方面においては、ソ連の庇護のもとに、満州朝鮮に土着させ、生活を営むようソ連側に依頼するも可〉・・・これは明らかな棄民でしょう・・・そう思ったとたんその日から脱走の計画を練り始めました』・・」 
スパイMを探し回っている強靭なる神経を持っている捕虜の主人公に日本通のソ連の美人の法務中尉が言う「『あんたは、例の〈日本人の風向きの原則 〉 にも適わない。日本人はいつもそのときそのときの風向きを気にしながら生きている。なにかというと、【みなさんがそうおっしゃるのだから仕方がない】と、そのときの吹いている風に合わせて自分の態度を決める・・・ところが今のあんたはどうですか。〈関東軍の兵隊はみんなシベリアで捕虜生活を送ることになったのだから、わたしがこんな毎日を送ることになったのも仕方がない〉 という強風がどこの捕虜収容所にも吹いているのに、あんたは、たった一人でその風に逆らおうとしている』・・・『・・こまった、こまったと繰り言をいうだけで、やがてそのうちにその事実そのものを一つの【権威】とみなして、そのままなにもかも諦めてしまう、そして、事実そのものを突き詰めて考えることを避けてしまう。そのためには、事実を忘れてしまうのが一番いい。こうして国際的にも有名な、あの【日本人の忘れっぽさ】 が育って行った。論文にはそう書きました。でもあなたはちがう。あなたは忘れないし、諦めもしない。別の言葉でいうとシツコイ。あなたはわたしが出会った新しい型の日本人だわ』  井上ひさし さんは、そんな日本人に日本人が変わっていって欲しかったのでないでしょうか?                
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こんにちは!

【山好き、旅好きの団塊世代日記】 当ブログは2007/1/29に運営開始いたしました!





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プロフィール

高田 学

Author:高田 学
少年時代は海と戯れ鎌倉育ち、故郷を離れ北海道で学業。その後東京にて工務店経営。
環境(省エネ)には特に詳しい。廃業後自由人。

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③ 旅や山行での報告感想  
等で 皆様の役にたてたら良いなと思うブログを書いてまいります。

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