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「論文捏造はなぜ起きたか」杉晴夫著 読書ノート

アップするのが遅くなり、話題性が減りましたが、現状は変わってません

長老で且つ現役研究者でもある、著名な「古典的生理学者」が、「本書の執筆を義務とさえ考え」て書いたとのこと。  ☆古き良き大学の良識・進歩派の大学教授というスタイルか。 以下抜粋
「国立大学の独立行政法人化」により、「わが国の大学の伝統を無視し、学問の世界に企業の論理を持ち込み、わが国の生命科学を滅亡の淵に追い込みつつある。」
「このように、インパクトファターの実態は浅薄きわまるものであるにもかかわらず、わが国では、軽薄にも、この値を過度に尊重し、多くの大学、研究機関で、職員の採用、あるいは昇任に、候補者が過去に発表した全論文のインパクトファクターの合計値を、人事決定の最優先事項としてもちいるようになった。…《ネイチャー》など、高インパクトファクターの雑誌における露骨な商業主義による掲載論文のえり好みは、最近、欧州のノーベル賞受賞者からさえ、学問の健全な発展を阻害すると非難されている。」「このような、明治の政治家たちのわが国の将来を見通した叡智に比べて、現在の政府が強行した大学の独立行政法人化や再生医療への巨額投資は、何と浅薄極まるものであろう。まさに目先の利益のみに執着する『商売人』の発想である。」
エイブリーによるブレイクスルー… 「遺伝を担う物質はタンパク質でなく核酸であることを発見した…1953年ワトソンとクリックの核酸の二重ラセン構造の提唱で頂点に達し、以後の爆発的な分子遺伝学の発展を迎えるのである。」
「現在でも、鮮烈な世界的競争にもかかわらず、ヒトのクローン胚からのES細胞作製には誰も成功していない。なお米国では、『ヒトの受精卵や胚を実験対象とすることは、倫理に反するので行うべきではない』という反対運動があり・」
「人体は、ただ一個の受精卵が分裂をくりかえして数十兆個の体細胞に増加する間に、この2万数千種類のタンパク質が未知の法則に支配されて三次元の構造を作り上げるのだが、このメカニズムはいまだ皆目不明である。クリックがおそらく絶望したと想像されるように、このタンパク質の構造メカニズムはDNAには記されておらず、おそらく個々の細胞の細胞質に潜んでおり、従来開発されたいかなる実験法による接近も拒んでいるように思われる。未知の天才の出現を待つしかない。」
「現時点では、この細胞初期化の試みは、いわば試行錯誤であり、投機的試みなのである。…山中がこの画期的成功を、『宝くじに当たったようなもの』と表現したことは、この種の試みの『投機的』性質を良く示している。」 「巨大な金を注ぎ込み続けても、しょせん『金は研究してくれない』のであり、柔軟な研究体制と研究者、特に若い研究者の意欲が大切なのである」「ips細胞に代表される再生医療分野は、分子遺伝学の発展から派生した、学問全体の流れから見れば多分に投機的な、一応用分野に過ぎない。国立大学の研究環境を破壊してまで再生医療分野に研究資金を投入しても、研究不正論文捏造を蔓延らせるだけである。」



「嘘と絶望の生命科学」榎木英介著

概略 第一章 『奴隷』が行うバイオ研究    第二章 ブラック企業化する大学院
   第三章 カネで歪めるバイオ研究     第四章 研究不正―底なしの泥沼
第五章 バイオを取り戻せ
「構造を変えよう…… 現在のバイオ研究の構造が原因だ。ポスドクを使い倒さなければ維持できない講座。・指導に熱心であればあるほど研究現場で生き残れない状況。研究不正をしてでも勝ち残らないとあとがない激しい競争。過度な競争によって、バイオ研究が歪む構造をなんとかしないと、とても対症療法では焼け石に水だ。論文出さなきゃ失業者という状況は、いくらなんでも問題がありすぎる。その元凶であるインパクトファクター至上主義はあらためないといけないだろう。」
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【山好き、旅好きの団塊世代日記】 当ブログは2007/1/29に運営開始いたしました!





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プロフィール

高田 学

Author:高田 学
少年時代は海と戯れ鎌倉育ち、故郷を離れ北海道で学業。その後東京にて工務店経営。
環境(省エネ)には特に詳しい。廃業後自由人。

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② 時事問題での皆様への問題提起
③ 旅や山行での報告感想  
等で 皆様の役にたてたら良いなと思うブログを書いてまいります。

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