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「世界は分けてもわからない」 福岡伸一著 読書ノート


◎ ラストの文「…現在、実験は進行中である。私たちは、新たな星座を描こうとしているのだろうか。それとも、単に、動的平衡が体現する限りない可変性と柔軟性を、再び確かめようとしているだけなのだろうか。分けてもわからないと知りつつ、今日なお私は世界を分けようとしている。それは世界を認識することの契機がその往還にしかないからである。」
「不足と欠乏に対して適応してきた私たちの生理は、過剰さに対して十分な準備がない。インシュリンは過剰に対して足るを知るための数少ない仕組みだった。それが損なわれたとき、代わりの因子は用意されていなかった。…ランゲルハウス島が生産しているものが、インシュリン…」
「しかし研究至上主義を標榜する古い大学組織の中には、目に見えない赤外線が低い位置のあちこちに張り巡らされていた。私のふるまいは、しばしばその赤外線を横切って、ちりちりと冷たい、音のない音をたてた。」
コンビニのサンドイッチに添加されている「ソルビン酸は食品添加物に使用されている程度の量では、いずれのパラメータについてもヒトの細胞に対して害作用を及ぼしていることを示すデータを見いだすことはできませんでした。つまり精密なインビトロ実験によっても、ソルビン酸の安全性は確かめられた」しかし、「腸内細菌と人間の共生」があり「腸内細菌群は消化管において一種のバリアーとして働き、危険な外来微生物の増殖や侵入を防ぎ、日常的な整腸作用を行ってくれてます。…消化管を微視的に見ると、どこからが自分の身体でどこからが微生物なのか実は判然としません。…ソルビン酸は実はこの不明瞭な界面にあって、腸内細菌に対して影響を及ぼすことによって、間接的に人体に害作用を及ぼす可能性があります。…生命をかき分け、そこだけ取り出して直接調べるという、一見、解像度の高いインビトロの実験。…ヒトの細胞はそこでは全体から切り離されているからです。本来、細胞がもっていたはずの相互作用が、シャーレの外周線に沿ってきれいに切断されているのです。」
「『君が内臓の細胞になるのなら、僕は皮膚の細胞になるよ』…細胞は互いにまわりの空気を読んで、自分のあり方を決めていたのだから、バラされて前後左右上下の細胞との相互作用が失われてしまうと、自分がなになるべきかわからなくなる。…この間、どの細胞ひとつとってみても身体の全体像を把握しているものはいない。…空気が読めず、自分探しをむしていたES細胞(初期胚幹細胞)は、あたらしい初期胚に出会って、空気が読める環境におかれると、そこから再出発をしてありとあらゆる細胞になることができる。」
癌細胞とES細胞は紙一重― 癌細胞は、あるとき急に、周囲の空気が読めなくなった細胞、停止命令がきこえなくなった細胞と定義できる。…ES細胞を、初期胚以外の段階にある生命体の中に入れたとき何が生じるか。分化の進んだ後期の胚や胎児、あるいは成体の中に入ったES細胞は、まわりの空気を読むことが出来ず、増え続けることしかできない。ES細胞は癌細胞になるしかないのだ。…私たちは、癌細胞を十分コントロールすることができない。それと全く同じ程度にしか、私たちはES細胞をコントロールしえないであろう。」
「たしかに生命現象において、全体は、部分の総和以上の何ものかである。…生気?…生命現象の本質は、物質的な基礎にあるのではなく、そこでやりとりされるエネルギーと情報がもたらす効果にこそある」
「つまりたんぱく質とは、物質レベルではアミノ酸が連結したものにすぎないが、そこには大きなエネルギーと情報が担われていることになる。」「わずかな揺らぎさえ与えられれば、タンパク質は、坂を転がるように、アミノ酸へと分解される。」
「受精卵およびそれが細胞分裂して出来る胚が、脳始以前の、まだヒトでないものと定義しうるなら、それは単なる細胞の塊にすぎないとみなしうる。そうなれば、胚を再生医療などの名目でいくらでも利用しうることになる。…本来存在しえない不連続面が、連続する時間に裂け目を入れる。私たちが信奉する最先端科学技術は、私たちの寿命をのばしてくれているのでは決してない。私たちの生命の時間をその両側(脳始から脳死)から切断して、縮めているのである。」
「私たちは世界の全体を一挙に見ることはできない。しかし大切なのはそのことに自省的であるということである。…そのリアルのありようを知るために、私たちは勉強しなければならない。」
天下の大捏造事件の本質「スベクターは・ラッカーがそうであってほしいと祈った星座を取り出してみせただけのことだった。」=治すすべのない病 と著者は言う。
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こんにちは!

【山好き、旅好きの団塊世代日記】 当ブログは2007/1/29に運営開始いたしました!





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プロフィール

高田 学

Author:高田 学
少年時代は海と戯れ鎌倉育ち、故郷を離れ北海道で学業。その後東京にて工務店経営。
環境(省エネ)には特に詳しい。廃業後自由人。

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② 時事問題での皆様への問題提起
③ 旅や山行での報告感想  
等で 皆様の役にたてたら良いなと思うブログを書いてまいります。

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