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「歴史を繰り返すな」坂野潤治・山口二郎、対談本 岩波書店 読書ノート

坂野「…中国には100年以上にわたる反日感情が底流にあって、21世紀になって、ついに日本を追い越したという気持ちが、今の中国の指導者にも国民にも強烈にある。日露戦争で南満州の利権を取られて以来、抵抗してきて、日中戦争で日本に勝っても、日本は中国に負けたと言う意識が全然なくって、それでようやく追いつき追い越して、今まさに『上から目線』で日本をみるようになった。」…山口「…西洋の植民地主義に対抗して近代国家を樹立したという共通項で、日中の結びつきを再確認する機会だったのですが、やはり、日本の伝統を重んじる保守の側こそ、文明の源である中国への敬意をもつべきです。」
坂野『一番大事な問題は、山形有朋のような権力の中心は中国の強さを意識してきたのですが、一般の日本人は1905年以来一貫して中国を蔑視してきたということです。』
立憲主義で対抗?山口「…憲法学者と議論をしていて、『立憲主義』というキーワードで戦列を作り直そうとなった…」坂野「立憲主義というのは、自由民権運動に対抗して井上毅らが主張した思想です。そんな保守主義がリベラルの用語になったのは、1938年の国家総動員法に対する衆議院の反対論からです。…事態がどんどん悪くなってくところを、当時のリベラルは明治憲法体制にすがって守ろうとした。これが立憲主義だったわけです。…日中戦争が始まって、国家総動員法となる時に、五箇条の御誓文と明治憲法を守れというところまで戻ってしまった。そして戦後も、それと同じレベルで護憲派を張った。これはちょっとないんじゃないの?と思って来たんです。」
坂野「…護憲派は日中友好というような国防論と結びつけないと、集団自衛権の問題もうまく行かないのではないかと思う。…日中友好と社会保障の充実を両立させれば、集団的自衛権の問題は自ずから姿を消すと僕は思うね。…護憲が目的ではなくて、日中友好、すなわち『平和』こそが目的だと切り替えられないかと思う。」
「『平和』の根が浅い理由― 坂野「日本人が敗戦をまともに受け止めていなかったというところに大きな原因があったのではないかな。…しかも戦後の日本の平和が無責任だと思うのは、あれだけ勝手に侵略しておきながら、終わった瞬間に二度と息子を戦場に送りませんって、それでゆるされる話ではないだろう。さんざん相手を殴っておきながら、殴った自分の手が痛くなったのでもうやりませんって。殴られた人はどうなるんだ。そういう感覚でいるから、敗戦という意識もなくて、日本は9条を持つ素晴らしい『平和国家』だなんていう国民として、戦後出発しちゃつたわけです。」
坂野「軍事に詳しい人は、みんなミッドウェイでどうだ、レイテでどうだって、詳しく研究するけど、41年12月以前の日中戦争期の『失敗の研究』がないんだ。これは相当の問題だよ。しかもイマジネーションがない。こちらも尖閣で屈辱を味わっているけれど、満州事変の時にどうだったとか、中国にしてみれば、尖閣どころでない屈辱感だよね。そこへのイマジネーションがないんだね。」
山口「私の実感では、冷戦が終わった後に、日本の革新勢力はむしろマルクス主義や社会主義の代わりに、憲法9条に最後の拠り所を求めたと思います。それで硬直化したというか、原理主義化が進んだ印象があるんです。」
坂野「日本の戦犯たちはエリートじゃなかった。反体制エリートだから責任意識なんてものがあるわけないんです。永田も・石原も・東条も・その程度の者が軍をうがしているわけだから、権力の中枢がなくなっているわけですよ。…天皇側近の西園寺公望や牧野信顕といった人々は、必死になって常識的な国際協調路線で抑えていこうとした。」 そして戦前と同じように「今の総理は反体制エリート」と見なす。
山口「丸山真男さんが日本の戦争指導者たちに言った『無責任の体系』のまさに繰り返しだと思うのです。なぜ戦後70年にわたって、官僚組織であれ企業組織であれ学界であれ、『無責任の体系』が日本のエリートの世界に脈々と流れるのか。…」坂野「太平洋戦争に限れば(日中戦争はない)『失敗の本質』戸部良一ほか著 がかなりやっているよ。」 
山口「相互忖度という問題…当時の軍のエリートたちは自分個人としては反対だったけれども、全体の空気でとか、なりゆきで反対できなかったというような精神の脆弱さを批判していました…むしろ全体の雰囲気を先取りして、それに迎合する。そして異論のない社会を作り、異論がないまま全員一致、満場一致で事を進めて行って、最後に大失敗をするというパターンの繰り返し。…本来主体的に考え、自分で意思決定を行うべき人が、・空気を読んで悪に消極的に加担するという構造ですね。」
山口「…もちろん、社会民主主義を標榜する政党が、あらゆる増税に反対すると主張し続けたことも、日本における福祉国家の政策論を貧困にしました。」
坂野「…検挙され…国家運営の経験はない…戦後の共産党と社会党左派というのは、戦争協力はしなかったけれども、そのかわり戦時体制のノウハウを全く持っていなかったわけだ。だから彼等には、戦後改革が終わったらどういう国家を作るかという目標がなかったわけだ。基本的には、『反戦平和』しか思いつかなかった。」☆先の民主党政権の経験の欠如…
坂野「実は戦後も、大内兵衛さんも含めて、労農派の経済学者というのは、赤字国債反対、インフレ絶対反対なんだ。高度成長の時・それを再分配の方に持っていく理論化の経験が全くなかった・驚き…。戦後のマルクス経済学者は、・どこかで小泉・竹中路線とつながってしまうところがあるように思うんです。」
坂野「…今この瞬間を支配する時空しかもう国民は関心がないのだと思いました。」
坂野「政治的な意見を人前で言いにくい雰囲気があるんです。自分が何か言う前に、左右前後見てと言う感じなんだなんだよ。小さな社会での自由というところから、本当に必要なのだと思いましたね。なんだろう、この息苦しくて、嫌な感じは?」☆7000人余りの町で、小生もとても感じます。坂野「違う意見を言い合うことが『自由』の大前提なのに…」
山口「制度的な民主化が進んだ後、一般の人々は自分の利害関係に基づいて、自分の利益を追求するために政治的な選択をするという思考の回路がうまく働かなかったと。」☆そんな思考回路無いよ!
「方向性をなくした日本…」
坂野「集団的自衛権の容認や憲法9条の改正は『理想』のレベルで反対なのでなく、リアリズムの立場から今日の欧米や中国と日本の関係を見ての『ノー』だという点が大事です。」
山口「…ナチスが全権委任法でワイマール体制を解体した。戦後日本は70年近く持った。・しかし、日本では戦後体制の正統性を否定する旧体制の発想が戦後生まれの世代に相続されて、今や自民党の主流になっている。そして、まさに『ナチスの手口』で、内閣の際限のない権力集中によって、戦後体制の正統性を否認しようとしている。」
山口「影響力を持つかどうかは別として、この状況でものを言わないのであれば、学者が世の中に存在している理由がないと思う人たちが増えてきたと思います。」
坂野「野党の存在感がなさすぎます。戦前は死にものぐるいで勉強して動き回ってたのに全くだらしない。」
「…今回の騒動(集団的自衛権の閣議決定)は、観念右翼と観念左翼の空中戦の終焉を告げる以上のものを含んでいたとは思えないんです。」☆すごい皮肉!「集団的自衛権問題で観念右翼が勝っても、国際関係に具体的に影響を与えるものではない。『平和』は、近隣諸国との良好な関係を作らなければ、どう憲法解釈しようが保てるものではない。・目の前の現実を踏まえた上での具体的な改良策をうちださなければ、『格差是正』はもう一つの『護憲論』になる…」

☆詳しく日本近代史を研究してきて、リアリストにならざるを得なかった坂野潤治さん、良いですね!
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こんにちは!

【山好き、旅好きの団塊世代日記】 当ブログは2007/1/29に運営開始いたしました!





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プロフィール

高田 学

Author:高田 学
少年時代は海と戯れ鎌倉育ち、故郷を離れ北海道で学業。その後東京にて工務店経営。
環境(省エネ)には特に詳しい。廃業後自由人。

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③ 旅や山行での報告感想  
等で 皆様の役にたてたら良いなと思うブログを書いてまいります。

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