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「草莽枯れ行く」(ソウモウカレユク) 北方謙三 著 読書ノート

◎「北方謙三は、理想に殉じて恨み(☆西郷隆盛の暗部へか?)を呑んで死んで行った相良総三の短い生涯を謳いあげることで、・《一種の皮肉》のなかに、幕末の体制の変換の本質を見据えているのである。」井家上隆幸、解説より
☆相良総三、カッコいいのである。何一つ後悔もせず、恨みを呑み、黙って斬首される。全共闘世代の北方謙三の書!

・相良と次郎長との邂逅・「丁にしか張らない。それが次郎長のやり方だった。・『やくざにゃ、縁なんてものはねえよ、義理と恩があるだけでね』それでも相良はついてくる。『ひとつだけ言っておくが、人をたやすいものだって見ねぇことだ。俺は、丁ばかり張って生きてきた。意味はねぇんだ。ただそう決めただけさ。だから、生き方なんてもんにも関係ねぇ』」
・「次郎長が草鞋を脱いだのは、浅草の町火消し、お組みの新門辰五郎の家だった」 二百人からの若い衆がいる。
・浪士隊が集められている、甲府の町で浪士隊が博打をやらせないために、新門辰五郎は次郎長を連れていく。次郎長が甲府に入るや否や、甲府の博徒・黒駒の勝蔵、竹居の吃安などの大親分が一斉に集まった(縄張りを守るため)ところで、辰五郎が浪士隊が去るまで賭場を閉めることを約させた。「新門辰五郎の名がものを言っただけでなく、実物の貫禄が無理な話を承知させたのだろう、と次郎長は思った。」・・・次郎長と武士・山岡鉄舟(辰五郎と懇意)との邂逅

・山岡『…人の世は薄汚さで成り立っていると言っていい・・・』、総三『…食を絶って死ぬほどの覚悟があれば、たとえ泥にまみれようと、と私は思います』、山岡『それが出来ぬお方(桃井可堂)だった。それは学者としての美徳でもある、と言っていい』、総三『美徳で国が救えますか』、束の間、相良総三と山岡は睨み合った。」
・坂本龍馬『草莽は枯れ行く、そしてまた新しい草莽が芽吹く。それをくり返し、無数の草莽が、大地を豊かにしていく。やがていつか、その大地がから大木の芽がでることもある。・50年先か100年先か・・・』
・「勝が笑った。やはり、どこかで大きないかさまをやりそうな男に見える。若いころ次郎長がやっていた、毛返しなどのようなけちないかさまではない。」
・『藩は、大木、大木には大木の役割があり、草莽には草莽の役割がある。大木があって、草莽があって、はじめてまことの大地でしょう。…討幕の戦は、薩摩と長州が組めば闘えるかも知れない。しかし私はそこに、草莽が加わったという歴史を刻んでおきたいのです。ほんの小さなものでもいい。この国の変革に、間違いなく草莽の力があったということをね』
・「商売を、ただの金儲けの観点からだけを考えず、人の営みを豊かにするものというふうに考えていけば、真理に行き着くのだ。坂本龍馬は、はじめからそれを考えることができる男だったと、いまにして思う。」
・次郎長「政事のことなど、とんとわからない。わかることに、意味があるとも思えない。…『…総三さん、あんた、妖怪の顔をしちゃいねぇよ、俺はね、京で妖怪を見てきた。山岡様が妖怪だとおっしゃったが、ほんとうだ。あんな妖怪の中で、総三さんや休之助さんがなんとか自分を失うまいとしている。無茶だがね、俺にゃなんとなくそれがわかった。・死ぬなよ。男だから、やりてえことはやらずにゃいられねぇ。だが、いま死んだら、国のためじゃなく、妖怪のためだ』」
・「勝が笑った。なにかを諦めたような笑顔だ、と次郎長は思った。それでも、いかさまはやるだろう。誰にもいかさまだと分からないほどの、大仕掛けのいかさまだ。」☆大政奉還はいかさま、と言いたいのかな?

・「赤報隊が官軍の先鋒であろうと、捨石の斬り込み隊であろうと、商人は困りはしない。しかし、年貢減免を触れながら進むのは、困るのではないか、経済の基礎は米であり、その中でも特に年貢として動く米だ。旧幕領の年貢を半減するのが、どれほど商人たちの損失になるのか…商人は損をするのだ。… …西郷が、いま商人たちにふり回されている。」☆そして西郷に、総三率いる赤報隊は切り捨てられる。
・「総三は、瞑目を続けた。一緒に汚名を着て、霙に打たれている同志たちに、なにひとつとして、してやることができない。その死に、志や国のためだという思いすら、抱かせてやることができない。総三の気持ちの底には、早く死にたいという思いがあるだけだった。死ねば、すべての理不尽から逃れられる。ただの人形(デク)のような死体になれる。…七人が、次々と斬首されるのを、総三はただ待っていた。・『相良総三』名を呼ばれた。自力で総三は立った。…なにかを、思い出し…自分を強くしたのは、学問だったのだと思う。…」
・「しかしその総三は、官軍の先鋒として、勅定(天皇の勅令)を受け、東山道を下りつつあるのだという。官軍の先鋒も勅定も、西郷の意志がなければできることではない。…それには(勅定)、年貢減免の一項があるという。そして軍費を要求された商人たちがこぞって抵抗したのが、年貢減免の一項だったという。…年貢減免の約束を反故にしたからこそ、商人たちも軍費を供出したと考えるのが自然だった。とすると、総三が持っている勅定は、どういうことになるのか。…西郷のある強引さがあったからできたことだ。薩長同盟もまた同じで、坂本龍馬の画策に乗ったような顔をしながら、独断で強引に決めたというところがある。…(勝海舟言う)『なにも変りゃしねぇさ、年貢の減免なんかを、商人を敵に回しても本気でできたかどうか。そこまでのことを官軍がやりゃ、これまでと違った政府ができるだろうよ。民が味方ってことでな。しかし官軍は、商人どもを味方につけだじゃねぇか。…田舎者がでかい顔(ツラ)をする政府になるだろうが、本質はどこも変わねぇよ』」

・「…次郎長は次第に総三の死にざまをとらえていった。偽官軍として、問答無用に首をはねられたらしい。なぜ偽官軍とされたのかも、益満休之助は喋った。要するに、新政府ははじめに民と約束したことを守れなかったのだ。守れないから、その約束をして進むのが任務だった総三を殺した。・もうひとつの大きな理由があり、先帝を岩倉具視が暗殺した、ということを知っていたのが、総三と伊牟田尚平だったというのだという。・・岩倉という男なら、どんなことでもするだろう、と次郎長は思った。…殺されたのだ。殺しただけでなく、汚名も着せたのだ。やくざでもやらないことだ、と次郎長は思った。…赤報隊という偽官軍が信州下諏訪で捕まり、全員が首を刎ねられた、という噂も流されてきた。」
・次郎長「『西郷ってのは、そんなに悪か?』、休之助『それが、よくわからないんだ。悪だとは思うが、この国には絶対に必要な男だとも思える。つまりそんな男さ』…いつものように狡猾なものだ。しかも西郷の風貌は、それを狡猾とは感じさせない。」
・休之助『あいつは、無理をしたわけじゃない。自分の生き方を貫き、殺されただけさ。・俺は、総三を殺した新政府ってやつが、ゆるせねぇよ。だけど、その新政府を作るために、俺は働いた。…』休之助は次郎長の子分になり「総五郎」と変名

・「総五郎が叫ぶ『勅定を受けた、官軍先鋒嚮導である。なにゆえ、岩倉卿はそれを偽官軍とされたのか。罪は万死に値する。これは天誅だ』」 ☆殺したはずが、『本物だろうが偽物だろうが、岩倉具視って野郎は、この世から消えねぇッテことだな』『親分、もう一度斬る気ですか』『いや・・賽の河原みてえなもんだ、これは』 ☆悪(ワル)は浜の真砂ヨ

・次郎長『死んだ人間に、してやれることはねぇ。もしなにかやるとしたら、生き残った者が、自分のためにやることだ』『忘れなきゃいいんだ。相良総三って男をよ。忘れさえしなけりゃ、墓もいらねぇ』・・・

☆司馬史観の小説とは違いますねぇー。 次郎長の目線の明治維新ですよ。人生、丁しか張らねぇー、かな?
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【山好き、旅好きの団塊世代日記】 当ブログは2007/1/29に運営開始いたしました!





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プロフィール

高田 学

Author:高田 学
少年時代は海と戯れ鎌倉育ち、故郷を離れ北海道で学業。その後東京にて工務店経営。
環境(省エネ)には特に詳しい。廃業後自由人。

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