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「箱の中の天皇」 赤坂真理 著  読書ノート

◎日本は、勝者アメリカの属国であること、そしてアメリカは、天皇を日本支配のため、民度に合わせ、巧妙に憲法に≪象徴≫として生かしてきた現実を赤裸々に小説として書いている。アメリカ留学経験で、日本を客観視できる文学才女の力作。 主要部の抜粋

・「・・『ちがいます、わたしは皇后陛下』・『わたしは象徴』・・狂った老婆と見ることもできた。・『あれはお人形なのです。ふだんは、たま を抜いておられます』・『いろいろな人が上手に繰っておられますし、天皇とはもともとそういうものです。それにあぁた、みなさん、こう言っちゃナンですけどもね、陛下を生身のかただと思っていないでしょう?生身と思ったら、あんなに何でも押し付けられます?≪押し付け憲法≫と言ってますけどね、今に始まったことじゃないんです。陛下にとっては、どれも押し付け憲法。・・利用するときだけ、木偶(デク)の坊を利用するように、人間であることを利用するのですよ』・・『鬼畜と聞いていたアメリカ人が、悪い人たちではありませんでした。なんと優しい人たちだったのです。そこに、ゆるみが、狂いが、生じたのだと思います。陛下も、わたしたちも』」

・「マッカサ―が口を開いた。『これだけの規模の首領制国家。世界の歴史に前例がない。マジカルキングが支配する。しかしマジカルキングは支配しない。』・・・マッカサ―が引き連れてきたもの、・・彼らはチョコレートとキャンデーとバンドエイドとクリネックスとコールドクリームを、そしてきらきらした音楽をたずさえてやってきた。・甘い音楽に恋愛映画、そして婦人参政権を、配った。・・『テンノウの赤子だろう君たちは?』・・『しかし不思議なのだが、よくあんな不徹底な神話を君たち(your people)は信じるね』・『天皇が神の子孫だという話だよ。天皇としては、あやうい、超越性が保証されていない。だが人々がそれを信じたという現実は、利用価値がある』 この人、マッカーサー(M)は、美や快適さや女性の守護者ではなく、それらのよき消費者である。どちらかといえば、原爆を落とした人たちに近い。現に、朝鮮半島にも原子爆弾を落として朝鮮半島を終結させようとした人だ。なんといっても日本での『成功体験』があり過ぎた。しかしその成功体験こそが、彼の衰弱の序曲だったのかもしれない。・・・逆に言うと、『国際問題』にならないからこそ、日本に原爆を落とせたわけだった。・・実験の土地だった。原爆から平和憲法まで、極から極のすべてができた。そして極と極とは、真逆だからこそ、くると反転してくっつくことができる。戦争と、平和と。現実と理想と。・・・そしてそのための内政の掌握のために、天皇を残した。空白を、残した。

・もしかしたら、この空白をすべて意識化してみるのが、西洋の近代化だったのかもしれなかった。それをしない近代の実験を、日本でしてみることになった。これは偶発的な出来事だが、アメリカはそこまで責任を負わなくてよかった。なんたって『内政』の問題だから。あとは日本人が考えてねってわけだ。」☆日本人考えてたら、日米地位協定破棄だし、普天間返還、辺野古の埋め立て無だし、横田の基地返還だね。・・「明治、大正、そして1945年までの昭和は、民主化が進まないでなかったが、それ以上にがっちりと、封建制が完成した時代だった。一人の王の命令で、総員が戦い、総員が武器を捨てる。そんな国は、封建制国家より他にない。・『それに神話にしたってあまりに不徹底だ。あれでよく信じるね。何をあんなに隠しているのかね?殺して王座を奪った先住民を祀っているんじゃないかと、思うことがあるね』」
・M「『お前はおめでたいな。傀儡国家を持つというのが、超大国の夢だ。植民地と非難されることも一切なく、独立運動を起こされることもなく、言うなりになる国家。幾度首相が変わろうと、われらの人形で。』『でも天皇がいる』『だから利用した。天皇こそが、人形だよ。あんな使い勝手のいい人形はない。だってもとから人形だから』『でも国民は黙っていないのではないかしら?』『国民だって、天皇を利用してきた。日本の歴史はある意味、天皇の利用の歴史だ。天皇の利用の仕方を、ひとえに洗練させてきたのが日本史だ。わたしは、君たちの歴史に学んだだけだ。それに《国民》だって?天皇のひと声で、インペリアル・アーミィは自ら武器を置き、老人から子供に至るまで、戦意をなくしたのだぞ?それが《国民》か?(☆奴隷か、信者かで成り立つのは国家でないということか?)・・』・・・戦争が終わってみれば、アメリカより隣組がこわかったと言った日本人はたくさんいた。」
・M『サムライのようにね、自分ひとりがハラを切ることで、システムを生き延びさせようとする。殉死。ヒロイックだ。ただし封建制のヒーローだ。でも国際政治なのだよ。わたしは彼にタスクを与えた。われらが日本を、代わって守護したまえと』『ヒロヒトが天皇として生き続ける方が、苦痛だと思うよ。本当に愛していたなら、退位させてやるのが人情だ。・・』
・「・・大勢のごく普通の人が、ごく普通の人に死ねと命じた。大局として勝つ見込みのない戦いの末期に、命に代えて攻撃しろと命じた。・・・わたしたちはたしかに自分たちの内側の悪習を、狂気を、自分たちでは止められなかった。天皇が聖断したところで、それがあらたまったとも思えない。アメリカがやってきて大鉈(オオナタ)をふるうまで、変えなれない悪習が、日本にはあった。アメリカが、占領者であると同時に救済者であった側面はたしかにあった。・・えたいのしれない暴力は今でもなされる。管理の名のもとにもなされる。」
・「ちがう。死者の民主主義だ。民主主義というのは、死者たちのたゆみない努力の上にできた。それに敬意を払うべきだ。死者たちもまた、この世界にものを申していいはずだ。それに君たちの内政は、私たちによって青写真を描かれたものだ。相手国の憲法を書き換えるのが、戦争に勝つということだ」
・M『よう、ヒロヒトの息子よ《わたくしの立場が憲法に規定されわたくしの自由がないのは、憲法の基本的人権に照らして違憲ではないのか?》という問いをあなたは出してもいいのだぞ?民主主義はそれを許容する、少なくともわたしたちは。日本国憲法を書いた私たちには、それを聞く用意がある』

・マリ『あの…、象徴の務めを果たしていく、って、それが、陛下が≪全身全霊≫で行うことなのですか?』・・『しかし≪象徴≫というのは、誰かが書いた、ただの言葉です。もっとも言えば、第二次世界大戦に負けた日本を占領した、アメリカの占領軍の書いた言葉です。それをなぜそしてんなに大事になさるのですか?それになぜ全身全霊を、かけたりするのですか?』・『陛下、≪象徴≫というのは、人が考えたこと、架空の話しです』
・「・・≪人間宣言≫・『私は人間である』とは言っていない、・・作家の三島由紀夫が英霊の口を借りて叫んだことを、わたしは思い出します。わたしはこう聞こえました。『国が敗れた後、人間ならば人間の務めとして、陛下は神でらせられるべきだった。しかし、最も神であらせられるべきまさにその時、陛下は人間にましました』・陛下一人だけは、神であるべきときに、神で在り続けて欲しかった。英霊たちが昭和天皇にそう望んでいたとしたら、それを今上陛下は、しておられるのではないですか?贖罪として、そして真新しい契約として、民が望んでいるか否かにかかわらず、たった一人で、現代の神話の主人公となること。」
・マリ『天皇陛下、≪象徴≫の神話については、訊くべき人びとがいます。もちろん、GHQの民生局(GS)の方々です』・・不本意だろうと新しい国は生まれ、神話は新たに書かれた。そこに明記された≪象徴=シンボル≫とはなんなのか。定義をはっきりさせねばならなかった。ないなら、今、つくらなければならなかった。退位と即位が同時に起きようとするとき・・そのとき原点にたちかえるのだ。
・マリがGSへ『あなたがたが、天皇を日本という国の憲法の第一章に8条まで記した意味は何でしょう』『それはワシントンの政治的判断です。わたしたちは、個別の天皇および天皇制に、べつだんの思い入れは無かったのです・・・天皇を処刑するよ、というのは恫喝のカードとしてはとても使えたがね』
・「こういう占領当事者との話し合いは、じっさい当時あったであろうし、日本人の間でも、議論されるべきだった。なんのために死んだか分からない死が、膨大にあり続けてはいけなかったし、民は、新しい行先を見出さなければならなかった。
・GS『たしかに、明治の≪革命≫を担った人は天皇を、旗にたとえましたよね。しかしそのずっと前からです。天皇は、いつも空白の中心のように在り、むしろその周りが、権力を持ち、天皇からは権威を借りていました。』
・マリ『シンボルがあるためには、それが象徴する≪内容≫がなければなりません!内容が書いてないのに、何を象徴すればいいんですか?無体だ!それは無に無を重ねることです!』 GS『そこまで、外国の占領軍に書いてほしかったということですか?・・私たちは本国からの命令で、日本という国の基本的構造を残しました。箱を残したとも言えます。そこにあった旗も残し、民が集まれるよう、その旗が徴(シルシ)です、と書きました。あとは感知しません。日本を救うために書いたことではないし、天皇を救うために書いたことでもありません。中身は、日本人が満たすべきものです。』

・天皇『・・・日本の各地、とりわけ遠隔の地や島々への旅も、私は天皇の象徴的行為として、・・・』・・・象徴的行為とは、民と共に在ること。たくさんの市井の人々と。とりわけ、傷ついた人々と。地震で、津波で、原発事故で。・・国内で唯一戦われた地上戦で。彼がしたことは、共に在ることだった。・それが、象徴的行為なのか?無力。無力と言えば無力。でも-
・「父がそこに現れた『・・一度、敗戦の時に思った。すべて奪われるのではないかと。ある日外国の兵隊が家の中に入って来て、財産を奪い、女たちを目の前で犯し、自分はなすすべもないのではと。たとえば満州でソ連軍がしたように。中国大陸その他で飢えた日本兵がしたように。・・・長い目で見て、もっと効果的に奪おうとしたかもしれなかった。それがうまい勝者かもしれなかった。パパたちは負けた。戦争に負け、それからあまりに視野が狭くなって、目先の儲けにしがみついた。だから経済戦争にも負けてしまった。』
・「一方≪教義≫にあたるものの多くを『箱』のような≪象徴≫に負わせた天皇制のようなものは、『箱』の中に、無数の解釈をよびこむ。・・これは主体意識の欠如となり、被害者意識を生む。・・もともとは、その箱を自分で選んでいないというという、被害者意識がある。それで誰もが責任逃れをする。最高責任者はといえば、中心はもともと誰もいない。」
・M『国民はあなたがいなくなったところで、気にせぬ。よく見ていた好きなタレントが一人いなくなるだけだ。あなたは日本史上最大のタレントだ。はじめての大衆天皇。タレント天皇。ほめているんだよ正真正銘。ヒロヒトの息子はよく頑張った。父親の汚名も返上したように見える。しかしあなたの民を見よ。60年以上、実質上、一党独裁で、それに何の不満もなかった民だ。それはもとをたどれば、アメリカの、一党独裁なのだ。世界史上最もうまくいった独裁だ。あなたがたはそのシンボルであった。』・ G2の誰かが言った『消えることに、G2,とGSの別もなく、わたしたちは賛成だ。天皇がいるなどは、民主主義国家ではない。わたしたちは、耐え難きを耐え容認した』

・「シンボルは、≪箱≫は、共和国宣言などとちがい、話の内容ではない。『概念』でもない。箱は容れ物である・・箱は何でも吸い込む≪空≫だ。・≪空≫がこの国の≪象徴≫というなら、この国とはなんだろう?すでに大破綻?
・1985年5月8日、ドイツのヴァイツゼッカー大統領の演説・・・「あれは(演説の主旨)、わたしの国の戦後に切実に必要で、でも無かった言葉だったからです。あれほどのことがあった後には、共同体は新しい物語、新しい言葉を必要とします。その新しい言葉は、過去を受け止め、あらためるべきをあらためて、新たな道を模索することがなければなりません。・ヴァイツゼッカーは言いました、あの戦争で傷ついた人たちのことを細かに挙げ、・自らの内面の一部となるように、・すべての嘆きと悲しみを忘れないようにしようと。」
・マリ『もとから≪象徴≫のような≪シンボル≫をまつってまとまった民族が、戦争を戦って、失敗して、どうしてそうなったかを、はっはりさせることはむずかしいのです。今だってむずかしいのだから、そのむずかしさを避け、日本人は、たまたま冷戦下でアメリカに優遇されたことに、飛びついたのだと思います』

・「・・・心理的にあまりの欠落を抱えこんだ人たちに育てられた次世代以降が、難しい問題を解かなければいけない。・・神話の誤った運用と決別し、軌道をそこから修正し、傷ついた心と魂を慰める行為は必要でした。・・その責務を負った人が誰もいなかった、と思ってきました。ただこの天皇がしてきたことをよく見るなら、ヴァイツゼッカーが言った内容の≪象徴化≫ではないかと思いました。
・「我が国において、憲法を、国家権力を抑制するためにあると本気で信じている人は少ない。けれど、この天皇はそれを『体現』しようとしたのではないか。日本の軍隊が傷つけた人々の地を慰問もした。言いたいことを、言えない状態で。その孤独な戦いを思います。・そして、天皇が日本の象徴であり、国民の象徴であるなら、行動を問われているのは国民なのです。」☆飛躍してないかな?

☆・・マッカーサーはこう答えた『・・近代文明の尺度で測れば、われわれが45歳で、成熟した年齢であるのに比べると、12歳の少年(日本のこと)といったところでしょう。』を想い出す。相変わらず日本は12歳で成長しないのか?

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【山好き、旅好きの団塊世代日記】 当ブログは2007/1/29に運営開始いたしました!





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プロフィール

高田 学

Author:高田 学
少年時代は海と戯れ鎌倉育ち、故郷を離れ北海道で学業。その後東京にて工務店経営。
環境(省エネ)には特に詳しい。廃業後自由人。

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