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「蝦夷地別件」 船戸与一 著  読書ノート


◎先住権の国際シンポジウムが5/26~28にあるので、それに間に合わせるように、大長編小説を読みました。和人である船戸さんは、アイヌ問題は過激なのかな?復讐するのが、大衆小説的?
☆1789年フランス革命の時に、蝦夷地ではクナシリ・メシナの戦いは起きるべきして起きた。
・「マホウスキはすこし声を強めてつづけた『クリル人(アイヌ人)の暮らしは年々酷くなっている。なぜだかわかるか?日本人がやってきたからだ。クリル人は日本人から住んでる土地を追い払われ、女は強姦され男は殺され続けている。このままだと日本人はサハリンにもやってきてオロッコ人やギリヤーク人にも同じことをするだろう。・・』 ☆外国人が見れば、日本人はそうだったんでしょう。
・天台宗の坊主・静澄 『征夷大将軍たあ本来、夷狄を平定する職務だぜ、・・順(まつろ)わねえやつらの性根を叩き直すのが仕事だ。・・草深いところに隠れてわけのわからないことを考えてる連中を力づくで引きずりだし、牙を引っこぬいて無理やり和人にしちまう職名だぜ。』 すごい皮肉?卓見?
・『松前藩は蝦夷に月代を剃ったり髷を結ったりするのを禁じてきた。・蝦夷と和人の区別がつかなくなるのは困るからだ。松前藩も飛騨屋もいくら蝦夷を傷めつけようと最後はやっぱり交易の相手と視てるのさ。つまり、蝦夷は所詮、異国の人間だとな。田沼意次もその考えから抜け切れらなかった。だが松平定信はちがう。・・・』
・「飛騨屋運上船支配人・勘平・『塩鮭百匹が米8升というこれまでの商い勘定じゃ、飛騨屋としちゃ・・百五十匹じらいでないとな。』 ☆飛騨屋、悪どかないかい!
・『あれだけ多くの同胞(ウタリ)がシャクシャインのもとで戦ったのに、結局、松前の鉄砲組には勝てなかった。わしらはだれもがシャクシャインのことを誇りに思ってる。しかし負けは負けだ。これは動かしがたい。』
・「田沼意次が御試交易をはじめた本当の理由は、・狙いは露西亜人およびサンタン人との交易だった。これが産み出す利は莫大で、薩摩が藩ぐるみの抜荷をやってこれを得ていた。・・」
・脇長人ツキノエ・『わしらが立ち上がるとき、力ずくで和人をアイヌの大地から追い払うだけでなく、和人の考えかたもアイヌの頭のなかから追い出さなきゃならない。・・』
・ヨイマイラが殺され、惣長人の死(毒殺?)によって、クナシリの同胞たちの和人への怒りはすごい勢い・・
・「・・幕府間諜・青島俊蔵(最上徳内随行者)が小梅に遭いに松前に来る…
・ツキノエを裏切った倅のセツハヤフ・『もう同胞たちを押さえられない。だれもが和人を殺したがっている。来るか来ないかわからない鉄砲を待つわけにはいかない。同胞たちの怒りはそこまで来ているんだ。もしこれを無理に抑えれば、アイヌは永遠に和人から骨抜きにされるだろう。』
・セツハヤフが息子のハルナフリに・『何があろうと、おまえは死んではならない。・・そして10年後20年後に今度こそ和人をアイヌの大地から完全に追い払うような戦いを起こすことだ。それがおまえの務めだ。』
 ☆ストーリーでも、現実にも、将来に渡っても、その務めは果たされてません。
・「目梨(東蝦夷)でアイヌが戦いを起こしたことはいずれ松前に届く。・・人殺しを仕事(☆武士の意味)としてる和人がやってくる。・・アイヌを根絶やしにしてしまおうと言い出す連中も出て来るだろう。」
・シャクシャインの戦いは・・「和人の砂金採りと一緒になって同胞をこき使ったオニビシとの戦いが和人全体への戦いとして拡がっていったのだ。」
・「松前藩が様似や釧路に手なずけてる牙を失くした蝦夷の長人どもを鎮撫軍のなかに合流させ・・・」
・天台宗坊主・静澄・「ただ観るだけさ。他には何の狙いもねぇ。俺の関心はただひとつ、世の中で何が起き何が起こらなかったかを確かめ解きてえ、ただそれだけさ。」☆ジャーナリスト精神?
・『・・あの連中(様似・釧路の長人)は松前に呼ばれ、藩主の御目見得(おめみえ)となるんだ。賜物のひとつももらえるってわけさ。』 ☆お目見得蝦夷・アイヌ
・☆アイヌ蜂起総数は、3百は超えている。対して鎮撫軍は260人但し武器は鉄砲、大砲まであり差は歴然だけど、パルチザンで抵抗すれば勝ち目がないとは言えないと、ゲバラは言った?嘘か?

・松前藩・新井田孫三郎・『松前藩は幕府に報告を迫られる。・・その報告の中に今度の蜂起について露西亜人
 の動きをどう盛り込むかをな。…これはいい悪いの問題じゃない。どうしても死体が要るんだ、適正な死者数がな。・幕府は松前藩の蝦夷地経営能力に文句をつけてくる。・・』 帰順したアイヌを殺す=国際法違反
・幕府間諜・葛西・「露西亜人まず蝦夷地に入り込んでくる。・・しかし放置すれば松前藩は露西亜と結んで幕府に刃を向ける恐れもある。そこで幕府は蝦夷地を松前藩から取り上げることに決めた。そのためには理由が要る。松前藩には蝦夷地を治める力がないという証が要る。」、坊主洗元・「そのために蝦夷を弄んだ?・そんなことのために戦を煽った?」、葛西・「蝦夷地を幕府直轄にするということは露西亜の動きに備えるためだけじゃない。・田沼意次が何でもかんでも金銭づくしの世にしたせいで、鄙が壊れ百姓たちが江戸や大阪に流れ込むようになった。・・幕府直轄にすればこういう無宿人たちを蝦夷地に抛りこむことができる。」、洗元・「しかし幕府が血を流したわけじゃない。殺されたのは陸奥や陸中からきた漁師たちですよ。確かに、みんな蝦夷に対して酷いことをしてきた。殺されて当然のようなことも。だけど、その死を口実にして松前藩から蝦夷地を取り上げ、蝦夷を無理やりに日本人にしてしまうなんて理屈が通りませんよ」
・静澄・「紅毛人の動きを口実に松前藩から蝦夷地を取り上げ、順(まつろ)わねえ蝦夷たちを順わせて日本という国家のかたちをもう一度整えようとしたんだよ・・・」
・ツキノエ・「アイヌはただやみくもに突っ走ろうとしたわけじゃない。肚を据えて和人をアイヌの大地から叩き出そうと考えていたんだ。・・想いもしなかった方向に突き進んだ・・」
☆和人は71人、アイヌ人37人の死亡。この戦乱の顛末。
☆最後に読者サービスで、復讐物語を創作したようです。史実では殺されてないのに、さらし首にされたり、…。ストーリーは敢えて外しました。アイヌの時代状況は勉強になりました。
☆主人公のハルナフリ・葛西政信は創作の人物。新井田孫三郎と松前平角は実在だ創作。
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【山好き、旅好きの団塊世代日記】 当ブログは2007/1/29に運営開始いたしました!





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プロフィール

高田 学

Author:高田 学
少年時代は海と戯れ鎌倉育ち、故郷を離れ北海道で学業。その後東京にて工務店経営。
環境(省エネ)には特に詳しい。廃業後自由人。

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